令和8年度税制改正で賃貸経営はどう変わる?vol.2
▼ポイント2:不動産小口化商品の評価が取引価額ベースに

今回の税制改正大綱では、不動産小口化商品(任意組合型等)についても、評価方法の見直し方針が示されました。
そもそも「任意組合型」とは、複数の投資家が出資して「任意組合」を作り、共同で不動産を購入・運営する仕組みです。
その最大の特徴は、投資家が不動産の「共有持分」を直接所有する点にあります。
今までは現金(額面100%評価)で保有するよりも、不動産(路線価等による評価)として保有する方が相続税評価額を大幅に下げられるため、効果的な相続対策として活用されてきました。
しかし、2027年(令和9年)1月1日以後に発生する相続等から、「通常の取引価額(時価)に相当する金額」で評価される方向です。
これにより、不動産小口化商品を活用した「相続税の圧縮効果」は大幅に縮小する見込みです。
今後は節税効果のみを期待するのではなく、「その物件が、節税抜きでも本当に稼げるか」を見抜く力が求められます。
▼ポイント3:高所得者への最低税率制度の強化

今回の税制改正で、不動産の売却を考えているオーナー様が見逃せないのが、「高所得者に対する最低税率制度」の強化です。
所得税の基本は、所得が増えるほど税率が上がる「累進課税(最高税率45%)」です。
一方で、所得1億円を超える高所得者は、実際の税負担率が下がる傾向があります。理由は、所得税率15%(住民税と合わせて約20%)の不動産や株式の売却・配当の比率が高いケースが多いからです。
この不公平を是正するため、2025年から「通称:ミニマム課税」が導入されました。
これは、以下の合計所得が3.3億円を超えた部分に対し、その22.5%にあたる金額が、「最低かかる所得税」になる制度です。
・総合課税の所得(給与所得や事業所得など)
・分離課税の所得(不動産の譲渡所得など)
・株式譲渡所得や配当所得
令和8年度税制改正大綱では、この最低税率が強化されます。
所得1億6,500万円を超えた部分の30%にあたる金額が「最低かかる所得税」となります。
適用された場合の税金計算の流れを見てみましょう。
1.通常の所得税を計算
2.最低納めるべき所得税を計算:所得1億6,500万円を超えた部分の30%にあたる金額を計算(計算式:(基準所得金額-特別控除額1.65億円)×税率30%)。
3.「最低納めるべき所得税」が「通常の所得税」を上回った場合、その差額を追加納税
ここでオーナー様に注意していただきたいのが、高額物件の売却益です。
これまで通り「長期譲渡所得は約20%の課税で済む」と考えていた場合、最低税率制度により追加納付が発生し、手元のキャッシュが思ったよりも少なくなる可能性があります。
この新しいルールは令和9年(2027年)分の所得税から適用される見込みです。
不動産売却を検討しているオーナー様にとっては、実行時期の判断が非常に重要になります。
今回の「令和8年度税制改正大綱」は、不動産オーナーや高所得者にとって、これまでの常識が通用しなくなる大きな転換点となります。
しかし、改正内容をしっかり捉え、早めに布石を打つことで、その影響を最小限に抑えることが可能です。
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