遺言書の確認をしておきましょう
被相続人が「遺言書」を残しているかどうかの確認をしておくことで、遺産分割相続をスムーズに行うことができます。
遺言書には3種類あります。
遺言書がある場合、遺言者の亡くなった日に最も近い日に作成された遺言書が効力を持つことになります。作成日の異なる2通以上の遺言書があった場合でも、異なる事項についての内容であれば、遺言書は有効です。
遺言書がある場合、被相続人が遺言によって指示した内容で分割すること(指定分割)が最優先となります。(配偶者と子供などには遺留分という、必ず一定割合を相続する権利があります)
遺言書がない場合には、相続人全員の協議により遺産分割を行います(協議分割)。相続人全員の同意が必要となり、1人でも同意しない人がいると協議分割は成立しません。
相続人間で話し合いをする場合の目安となるのが、民法で定められている法定相続分です。ただ、この法定相続分どおりに必ず分ける必要まではなく、相続人全員で話し合い、納得の上で分割をするのとよいでしょう。
なお、相続人の間で協議がまとまらない場合や、行方不明者などが居て協議出来ない場合は、相続人が共同で、または1人で、家庭裁判所に遺産の分割を申し立てることができます(調停・審判による分割)。

相続人と法定相続分について
法定相続人が定められており、配偶者は常に相続人となります。他の相続人は次のように順位が定められています。
●第一順位…子・孫(直系卑属)
●第二順位…父母・祖父母(直系尊属)
●第三順位…兄弟姉妹
このように、配偶者は常に相続人となり、父母と兄弟姉妹は第一順位の相続人がいない場合にのみ相続人となります。
相続人となるべき人が既に亡くなられている場合、その方の直系卑属が相続人となります(代襲相続人)。
また、民法では、各相続人の相続割合が下記の通り定められています(法定相続分)。直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹が数人いるときは、それぞれの相続分を均等分したものが各人の相続分となります。
●第一順位
相続人が配偶者と子の場合の法定相 ・・・・・・配偶者1/2、子1/2
●第二順位
相続人が配偶者と直系尊属の場合の法定相続分 ・・・配偶者2/3、直系尊属1/3
●第三順位
相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合の法定相続分・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
相続人の中に未成年の場合
相続人の中に未成年者がいる場合は、家庭裁判所に「特別代理人選任申立書」を提出し、選任された特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議を行います。
◆大切な資産を家族で争うことがないよう、日ごろのコミュニケーションを心がけて、大切な家族のためにも遺言書の作成をご検討ください。
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