外国人入居者の受け入れ メリットとその注意点
賃貸物件を経営するにあたって避けたいのは空室リスクです。少子高齢化の影響で日本人は既に減少傾向にある中、都市部以外では特に空室リスクが高くなっています。
一方で日本に滞在する外国人の留学生や労働者は増加傾向にあり、このような人々の入居を認めることが空室対策として注目されています。しかし、外国との文化の違いなどから、外国人の受け入れには注意も必要です。今回は、外国人の入居受け入れにおけるメリットと注意点について紹介します。
需要は高く、他物件との差別化に
外国人の賃貸物件への入居需要は高いものの、外国人の入居を受け入れている物件は少ないため、他物件との大きな差別化が図れます。
入居可能な物件の少なさから、長く住んでくれたり、友人や知人に紹介してくれたりといった効果も期待できます。また、外国人入居の受け入れは、空室対策として行われるものなので、元々入居需要の高く、空室リスクの低い都市部で駅から近い物件などは、同レベルの物件よりも高い賃料に設定しても入居してもらいやすい傾向があります。
トラブル対策は必至
日本と外国での生活文化や賃貸物件でのルールの違いから、外国人入居には、日本人入居以上に慎重になる必要があります。特に外国にはない敷金と礼金、曜日ごとに袋を変えるゴミ捨てルールなどはトラブルになりやすいところです。
賃料に関しても、滞納や帰国を理由に支払わないなどといったことがありますし、退去時の原状回復についても実施していない国が多いため、トラブルになりやすいです。金銭トラブルを避けるためには、外国人でも利用可能な家賃保証会社の利用を必須にするなどの対策が必要です。
他にもトラブルになりやすい点はさまざまありますが、それらの理解のためにまずは、国土交通省が外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居を目的として、物件オーナー、仲介業者、管理会社向けに作成した「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を確認することをおすすめします。
入居申し込み書や重要事項説明書のサンプルは日本語だけでなく英語や韓国語、中国語、スペイン語などの計14カ国語が用意されているため、非常に有用です。
令和6年の外国人労働者数は232万人と毎年約12%の伸びを示していて、外国人対応を踏まえた入居者の受け入れは、空室対策として有効な手段になり得ます。
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